Puka

映画や音楽など。思うところ思うまままに。

ばるぼら

ばるぼら


ワタシは映画が好きです。映画館に行くとワクワクします。
そりゃ、ハッピーエンドが良いですが、大円団でなくても、楽しみます。
バッドエンドの時は、最後泣きながら帰ります。それはそれで良いんです。
漫画も好きです。(そういえば、漫画家になりたくてGペン買ったなあ。)
そして、音楽はワタシにとっては無くてはならないもので、少々嗜みます。

そんなワタシの、ばるぼらを観た感想。

- もったいない。-

*この映画に高評価を付けた皆様、怒らないでくださいね。
 あくまで私的感想でございますゆえ。。

役者は十分すぎる程、そろってる。*キャストはこちら

原作は、あの手塚治虫先生の「ばるぼら」。
若い時に読み、その頃のワタシの人生経験では奥が深すぎた。
リボンの騎士」「ジャングル大帝」で育った昭和世代なので、
尚更、ショックだった。(良い意味で)

撮影は、CHRISTOPHER DOYLE
回顧的で美しい映像は、彼だからこそ、だ。
(オンディーヌ 海辺の恋人も彼でしたね。)
光も影も、色も秀逸。日本人でないと手塚ワールドは撮れない
と思っている人がいるなら、それはアウトぉ!だわ。

ただ、なんかね・・・観終わった後、残念な気分になってしまったのよ。
良い俳優陣だけに、良い原作だけに、良い撮影監督なだけに。

- もったいない。-


これは映画じゃない、って、、
Richな高尚な趣味を持つであろう映像芸術家が作った映像。
流れる音楽も、素晴らしいのだけど、とても諄いし。
薄い。必要な描写を端折りすぎて、不要なトッピングが多すぎる。
ある意味、映画は観る側に委ねるものだけれど、これでは、委ね過ぎ。

手塚眞監督は、我々に何を見せたかっただろう。
原作知らずに見た人は、どう感じたのだろう。
100分では、時間が足りなかったのかもしれない。

 

主演の小説家・美倉洋介を演じたのは、稲垣吾郎さん。
先日、レビューを書いた「十三人の刺客」の松平斉韶を演じた、あの稲垣君だ。

puka-puka.hatenablog.com


彼は、本当に良い役者になったなあと思う。
ただ、今回は、手塚眞監督の思った美倉洋介を演じさせられてしまった。
愛欲に溺れた美しい、手塚眞監督の美倉。
ばるぼらをみる視線も生々しく表情が良い。堕ちていく様も、うまい。
稲垣君だからこその演技。
でもね、
手塚治虫先生の美倉は、もっと退廃的で狂気でなくてはだめな気がするの。
切羽詰まって悪魔に魂を売るぐらいの。それを監督が演出できていない。
人間の奥深いところにある黒さ、臭いが感じられない。

W主演のミューズ「ばるぼら」を演じたのは、二階堂ふみさん。
映画を観に行く前は、PVでの彼女の肌が美しすぎると思ったの。
確かに、最初、オープニングから数分は、違和感を感じた。
だって、もっと、ジャンキーで肌がささくれた感がないとね。
でも中盤から、それは良い意味で覆された。
なんちゅう、目つきが出来る子なんだろうって。
男性を虜にするミューズ「ばるぼら」。
くるくると変わる表情も、魅力的でとても良いんですよね。
脱ぎっぷりも、あっぱれで。
この先、良い作品に出合えますように、と願わずにいられない。

助演のキャストにも、スピンオフっていうのかな、ほんのもう少しスポットを当てて欲しかった。
甲斐加奈子や、里見志賀子。四谷弘行との絡みも、もっと嫉妬心があって然るべきだし。
あ、ムネーモシュネーには、唖然&絶句した・・。(渡辺えりさんの眼力!これは必見。見終わった夜は、夢でうなされます、はい。)

映画館で映像を楽しむには良い映画だと思います。
今から観に行かれる方は、少しあらすじや、原作を読んでから
観に行かれることをお勧めします。
なお、本映画はR15+指定ですので、ご注意を。

【映画ばるぼら公式ホームページ
        Tezuka's Barbara(English)
        *なぜかBARBARAと書いて”ばるぼら”と読む。
【漫画ばるぼら手塚治虫OFFICIAL

最後まで読んで下さってありがとう。
Thank you for reading my page.
Puka (Katharine)

post-date 2020年11月28日